このような疑問に、私の実体験にもとづきお答えします。
(あくまでもご参考までにご覧ください)
もくじ

この記事を書いている私
40代の元アダルトチルドレンです。
22歳、「アダルトチルドレン(AC)」と気づき、生きづらさの正体を知る。
30歳、 ACからの回復に自信をもつ。
35歳、「私は親のようにならない」という誓いから解放される。
現在は、夫と子どもと共に田舎暮らし。
くわしいプロフィールはこちら。
毒親育ちのアダルトチルドレンとは?

「アダルトチルドレン(AC : Adult Children)」とは:
子ども時代に親との関係でなんらかのトラウマ(心の傷)を負ったと感じており、今もそのトラウマのために生きづらさを抱えている成人のこと。
アメリカの第42代大統領ビル・クリントン氏が、自らを「アダルトチルドレン」と告白したことは有名な話です。
アダルトチルドレンは、さまざまな理由で、子ども時代に「子ども」として自由に振るまうことを制限されます。
次第に、自分の喜怒哀楽をそのまま表現することは、望まれていないこと・いけないこと・危険なことだと感じるようになります。
本来、子どもとは、周囲の大人の愛情や関心を感じながら、自由にのびのびと自己を表現し、ゆっくりと時間をかけて社会性を身につけていくもの。
🔳 アダルトチルドレンという概念の誕生
AC概念は、1970年代後半には用いられていたようです。
この後、ACに関する本が継続的に出版され、少しずつその概念は広がっていきます。
すごく簡略化しますが、ざっとこんな感じ。
- 1983年、ジャネット・G・ウォイティッツが自費出版した『アダルト・チルドレン〈アルコール問題家族で育った子供たち〉』がベストセラーになる
- 2002年、ピア・メロディが『児童虐待と共依存〈自己喪失の病〉』を出版する
- 2004年、クラウディア・ブラックの『私は親のようにはならない』を出版する
ちなみに、 3人に共通すること。
それは、自身の家庭に大きな問題を抱えていた専門職ということ。
ジャネット氏は教育学者。
ピア氏は、共依存・トラウマの専門治療施設の看護士。
クラウディア氏は、ソーシャルワーカ(病気や障害などによって生活に問題を抱える人に対して社会福祉支援を行う専門職)。
まだAC概念と回復方法が定まりきらないなかで出版された上記の本。
どれほどの心血が注がれたのか、想像にむずかしくないですね。
🔳 アダルトチルドレンの親は「毒になる親(毒親)」
アダルトチルドレンの親は、通俗的な言い方をすれば「毒になる親(毒親)」です。
この表現は、スーザン・フォワードが『Toxic Parents(毒になる親)』という著書で使い始めました。
(個人的には、あまり好きな呼び方ではありませんが……)
「毒になる親」とは
この世に完全な親などというものは存在しない。どんな親にも欠陥はあり、だれでも時にはそれをさらけ出すことはあるものだ。(中略)
ところがが世の中には、子どもに対するネガティブな行動パターンが執拗に継続し、それが子供の人生を支配するようになってしまう親がたくさんいる。子供に害悪を及ぼす親とは、そういう親のことをいう。(後略)
出典:スーザン・フォワード『毒になる親 〈一生苦しむ子供〉』(講談社 2001/10/20 : P.9-10)

「毒親育ち」の人すべてが、アダルトチルドレンになるわけではないかも。
しかし、執拗に繰り返されるマイナスな言動。
子どもへの悪影響は、容易に想像できますね。
🔳 ふつうの親(どこにでもいる普通のいたらない親 )と毒親とのちがい
『Toxic Parents(毒になる親)』 のなかでスーザン・フォワードが述べているように、両者の差は、子どもに対するマイナスな言動を、長い間、執拗に繰り返すか否かだと思います。
私は2人の子どもの母親です。
親の立場から言わせてもらえば、子どもの成長と共に、親自身も少しずつ成長していくものだと思います。
また、人は、さまざまな問題を抱えながら生活しているのがふつうです。
私も経験がありますが、疲れているときなど、必要以上に強い口調になってしまうことがあります。
しかし、しっかりとした愛情と信頼感が、親子の間に育っていれば、たまにそのようなことがあったとしても、子どもの精神に害を及ぼすことはないはずです。
対して、子どもの心のなかに住みつき、子どもの意思を操り、人生を支配するようになってしまうのが毒親なのです。
最近の毒親ブームの弊害か、すべてを親の責任にし、必要以上に親を責める人たちもいるでしょう。
この場合、「どこにでもいる普通のいたらない親」までも毒親にされてしまいます。

思春期の子どもにとって、両者の線引きはむずかしいですね
🔳 日本に多い、「一見、愛情豊かな家庭」に育ったアダルトチルドレン
「一見、愛情豊かな家庭」 とは、たとえば……。
- 「あなたのために」と言いながら、親の理想どおりの人生を歩ませようとする
- 子どもの気持ちに寄りそわず、正しさばかり追求する
- 苦労する姿や子どもを思う姿を見せ続けることで、自分を支える存在に仕立てあげる
保育士としての実感ですが、このような家庭は「少なくないというレベル」ではなく、「とても多い」と感じます。
アメリカのように、親に依存症(アルコール・薬物・ギャンブルなど)があったり、身体的虐待・性的虐待や育児放棄をするわけではないので、外から問題が分かりづらい分、やっかいですね。
本人も生きづらさの根源をつかみづらく、理由がわからないまま、生きづらさだけが徐々に増していく。
生きづらさの根源がなにか。
自分の性格(物事のとらえ方)・人間関係の悩みが、何に起因するのか。
まずは、「自分はアダルトチルドレンだ」と気づくこと。
気づくことで、生きづらさを解決する方法を学べます。
「一見、愛情豊かな家庭」についてくわしく知りたい方は、 臨床心理士の信田さよ子さんの本がおすすめ。

私の家も 「一見、愛情豊かな家庭」でした 。
父や姉と日常的に激しいケンカをし、泣いたり怒ったりする母。
いつのまにか、私は母にとっての「いい子」を演じるようになりました。
一見、「まじめで穏やかそうな会社員の父、家庭的で教育熱心な母」というイメージの私の家。
母は「こうあるべき」という理想像を強く持っていました。
自分の理想の枠からはみ出ることは決して許さず、けれど、家族が理想の枠のなかにさえいれば、とても機嫌がよかったように思います。
しつけに厳しい母でしたが、母の理想に応えることができた幼いころの私は、自分の家を安全な場所だと感じていました。
家庭に異変が生じたのは小学校5年生の冬。
両親が激しく言い争うのを初めて目にしました。
母に、姉と2人で別室に行くように言われました。
両親のケンカを子どもには見せたくないという配慮だったのでしょう。
普段はあまり使うことのない北の部屋。
ケンカが終わるのを、息をひそめてじっと待ちました。
日が暮れて寒さが厳しくなるなか、姉と2人で「お腹すいたね」と力なくつぶやいたことを覚えています。
この日を境に、両親の仲は目に見えて悪化。
子どもの目の前で日常的にケンカをするようになり、次第にエスカレートしていきました。
隣近所に聞こえてしまうほどの大きな罵声。
暴言を吐く母に耐え切れなくなった父が切れ、暴力を振るう姿をなんどか目にしました。
世間体を気にする母は、ケンカが始まるとすぐに「kaho、窓しめて!」と指示するようになり、指示されなくても窓を閉めに行くのが私の役目になりました。
自分の部屋にいても、ケンカが始まると廊下でそっと様子をうかがいました。
あまりにも激しくなるようなら、ケンカを止める必要があるから。
この頃、姉の反抗期が激しくなりました。
母の支配に耐え切れなくなってきたからです。
母と父のケンカに加え、母と姉のケンカも日常的になりました。
つかまれた部分に手の跡が赤く残るような取っ組み合いのケンカも珍しくありませんでした。
「この家を守るのは、私しかいない」
そう思いつめました。
激しいケンカに泣いたり怒ったりする母を見て、父と姉を激しく憎むようになりました。
子どもの私には、母が「善」で、父と姉が「悪」に見えたのです。
でも、事実は違っていました。
大人になって、信田さよ子さんの『愛情という名の支配〈家族を縛る共依存〉』(海竜社、1998)と出会い、自分がアダルトチルドレンだと知りました。
母と私が「共依存」の関係であったこと、すべてを思いどおりにしたがる母こそが、家族をバラバラにした元凶だと知りました。
もちろん、男は外で仕事さえしていればいいと思っていた父の責任はとても大きいです。
父は、母に必死に抵抗する姉を守りませんでした。
自分も同じ目に合っていたのに、姉に理解を示さず、母の言うなりになってしまった。
わたし自身、父と不仲な母をさらに苦しめる存在として、姉のことを激しく責めました。
父、姉は、それぞれが完全に孤立。
母と私の結びつきだけが異常に強い、いびつな家族関係が強化されていきました。
アダルトチルドレンの18の特徴をチェックし、自分で診断する

「アダルトチルドレン」は、医学的な診断名、つまり「病名」ではありません。
自分の内面(物事のとらえ方)・対人関係などに生きづらさを感じ、あなた自身が「わたしはアダルトチルドレン」と思えば、あなたはアダルトチルドレンです。
つまり、自分の人生を取り戻すため、自分自身で認めるものです。
もちろん、「あの人は〇〇の特徴があるからアダルトチルドレンだ」などと、他人が悪意をもって、人を判断するための概念ではありません。
ここに、アダルトチドレンの代表的な特徴を挙げました。
多く該当すれば、あなたはアダルトチルドレンかもしれません。
- 泣きたくなるほど悲しい・つらい気持ちに蓋をして、自分のマイナス感情を認めようとしない
- 自分の本当の気持ちをとらえることが難しい
- 爆発的な怒りを感じることがある
- 「白か黒か」といった極端な考えに偏りがちで、中間のグレーを選ぶというバランス感覚が弱い
- こうあるべきという「べき思考」が強く、完璧を求めすぎてしまう
- 自分には価値がないと思う
- 漠然とした不安や切迫感・喪失感に苦しんでいる
- 必要以上に罪悪感や責任感が強く、自分を厳しく責めてしまう
- リッラクスしたり、楽しむことが苦手
- アルコール・食べ物・薬物・ギャンブル・セックス・仕事・恋愛・買い物などに依存する傾向がある
- うつ病、パニック障害、自己愛性パーソナリティ障害、統合失調症などの精神疾患が認められる
- 相手に気をつかい過ぎて、本当の気持ちを伝えることが難しい。
本音を言えなかったり、その反動で、急に感情を抑えられなくなったりする - 人の期待に応えようとがんばりすぎてしまう
- 人に助けを求めるのが苦手で、助けが必要なときも自分でなんとかしようとする
- 人を心から信じることができず、最終的に頼りになるのは自分だけだと思う
- 人との距離のとり方がわからず、親密になろうとしすぎるか、距離を置きすぎてしまう
- 自分の思いどおりに、相手をコントロールしたい気持ちが強い
- 見捨てられるのではないかという強い不安がある
大切なのは、幸せになるために、本当の自分を知ることです。
現状を嘆くためではなく、前に進むためです。
「自分はアダルトチルドレンだ」と気づいて初めて、自分の人生を取り戻すスタートラインに立てるのです。

ちなみに、20年以上前、私は16コも該当。
今も、いくつかの特徴は「その傾向がある」くらいの程度に残っています。
特に困るレベルでなければ、逆に強みにできます。
🔳 アダルトチルドレンだと気づいた後の注意点
生きづらさが家庭環境に起因することを知ると、一時的に新たな苦しみも生まれます。
なんとかバランスを保っていた家族との間に、変化が生じる可能性があるからです。
その変化は、共に暮らす家族にとっては望ましくないかもしれません。
故に、あなたへの「支配」(家族は「愛情」だと思っていますが)は強くなる可能性があります。
精神的に辛い場合、心の専門家に相談しましょう。
学生の場合は、スクールカウンセラーが身近です。
また、「困ったらすぐに相談できる窓口」を掲載しておきます。
面と向かって話す勇気がなければ、チャット相談などもOKですよ。
- チャイルドライン
18歳までの子ども専用の相談先 - 子どもの人権110番
- あなたのいばしょ
24時間365日、年齢や性別を問わず誰でも相談OK
もちろん、命にかかわるような問題・身体的虐待・性的虐待があれば、「児童相談所 虐待対応ダイヤル」【189(いちはやく)】などに電話するなど、一刻も早い対応を!!
🔳 心の専門家である臨床心理士
臨床心理士などの心の専門家は、秘密厳守の義務があります。
安心して相談できるはずです。
わたしたちアダルトチルドレンは、「家のことは絶対に外で話してはいけない」という暗黙の家族のルールがありますよね。
そのルールを必死に守り、秘密を抱えつづけることで、自分の境遇をより悪化させないようにしましょう。
「家のなかのもめ事は誰にも話してはいけない。就職や結婚に差しつかえるからね」
長い間、母に繰り返し言われてきました。
また、私自身、家の内情を知られてしまうことに「恐怖感」がありました。
自分の家のことを知られたら、自分が欠陥品のようにみなされてしまうのでは……。
誰にも打ちあけることができず、秘密を抱えつづける。
それは、想像以上に苦しいことです。
行き場のない気持ちはどんどん膨らみ、解決策は見つからず、家庭内の問題は深刻化していきす。
家のもめ事を打ちあけたのは、今の夫が初めてです。
24歳で出会ってから、少しずつ打ちあけてました。
全てを打ちあけ終えるころ、私は子どもの母親になっていました。
「就職や結婚に差しつかえる」とう母の呪縛から逃れるのに、ずいぶん長い時間が必要だったのです。
1人で抱えこんでいた思いを信頼できる相手に話し、気持ちを認めてもらうことで、少しずつですが気持ちが軽くなっていきました。
こうして文章にする行為も、自分の体験や気持ちを整理し直すことができ、自分にはプラスだと感じています。
(ケンカの詳細を書くときはつらいですが……)
ただし、自分の気持ちを100%理解してもらおうとするのは危険です。
あなたのつらさを100%理解できるのは、あなただけ。
同じアダルトチルドレンであっったとしても、やはり100%というわけにはいきません。
役割のちがい・家庭環境のひどさのちがいなど、全く同じ状況はあり得ないのですから。
2重の苦しみ | アダルトチルドレンの過去と現在

アダルトチルドレンは、「過去」と「現在」において2重の苦しみを背負っています。
過去の苦しみ |子どもの頃のトラウマ(心の傷)
過去の苦しみとは、子どもの頃、親との関係で生じたトラウマ(心の傷)です。
子ども時代にほしかった愛情・必要な助けが得られたなかった苦しみなどに、大人になってからも痛みを感じています。
私の場合:
母の理想に見合う子どもでいる必要がありました。
母が自己愛性パーソナリティ障害の特徴をもっていたからです。
「そのままでいいんだよ」という無償の愛情ではなく、条件つきの愛情でした。
アダルトチルドレンが育つ家庭では、「親子の役割が逆転」していることがよくあります。
私の場合:
母は自己中心的・父は家庭に無関心だったため、思春期の多感な時期に必要だった助けや支えは得られませんでした。
逆に、母を支える役割を期待されました。
自分の欲求を優先してわがままが言えるような子どもらしさは、完全に失われました。
そして、家族を気づかうことで手一杯なため、自分自身の欲求に気づく余裕すらなくなっていきました。
🔳 一般的によく知られているアダルトチルドレンの4つの役割
- 責任を負う子ども
- 順応者
- なだめ役(調整役)
- 行動化する子ども
私の主な役割は「なだめ役(調整役)」でした。
必要に応じて「責任を負う子ども」も担っていました。
現在の苦しみ | 過去の苦しみに起因する生きづらさ
現在の苦しみ:
過去の苦しみに起因する生きづらさ
健全に機能しない家庭(「機能不全家族」という)で身につけてしまった「まちがった価値観や処世術」に起因する生きづらさ
では、「まちがった価値観や処世術」とは?
ざっくり言うと、前章で列挙したアダルトチルドレンの18の特徴のこと
では、なぜ 「まちがった価値観や処世術」 を身につけてしまったのか?
自分や家族を守るため、どうしても必要なものだったから。
しかし、家の外の世界(現実の社会)では、逆に自分を苦しめることになります。
では、なぜ家の外の世界(現実の社会)では、自分を苦しめることになるのか?
身につけてしまった 「まちがった価値観や処世術」は、過剰なレベルだから。
家の外の世界(現実の社会)ではうまく機能せず、人間関係がうまくいかなくなるほど、過剰なレベルです。
このバランスを著しく欠いた姿が、アダルトチルドレンの生きづらさの正体です。
こんな生きづらさはありませんか?
- 「自分はみんなとどこかちがう、なじめない」
- 「人と一緒にいても疲れる、苦痛だ」
- 「他人の何気ない言動が、自分に対する攻撃・非難に感じてしまう」
- 「すべてが緊急事態のように思える」
逆に、「自分自身のことなのに、どこか他人事のように感じる」など
苦しい立場に置かれるアダルトチルドレンと精神疾患との関係

私は専門家ではないので、精神疾患に関して医学的な話はできません。
あくまで経験上の話です。
精神的につらい立場におかれることが多いアダルトチルドレン。
2次的に精神疾患の症状が現れる可能性はあります。
いま思えば、母はアダルトチルドレンでした。
私が高校3年生の冬、母はがんを患ったのを機に、うつ病になりました。
そして、わたしの目の前でマンションのベランダから飛び降りようとしました。
その後、私が大学受験に合格したのを機に、なんとか回復しました。
しかし、うつ病から20数年後、ふたたび精神のバランスを崩し、統合失調症と診断されました。
今も抗不安薬(精神安定剤)を飲み続けています。
🔳 母が「統合失調症」になるほど症状を深めてしまった要因
その要因は、「自己愛性パーソナリティ障害」という精神疾患だと思います。
10種類ある「パーソナリティ障害」のうちの1つです。
ざっくり言えば、「健康な人間関係を築けないという障害」です。

私について言えば、精神疾患と呼べるほどの症状ありませんでした。
しかし、不眠症・悪夢・息苦しさに悩んでいた時期はありました。
思いかえせば、私の日常は手に負えないことばかり。
無力だなぁ……と痛感する日々。
うつ病にならずにすんだのは奇跡だと思います。
けれど、今思いかえせば、それなりの症状はありました。
高校生:
不眠症になり、寝つくのに2、3時間かかるような時期が続きました。
また、悪夢にうなされるのは日常でした。
自分が傷つけられる夢・人を傷つける夢・なにかに追いかけられる夢。
今でも、母のことでストレスがあった日は、悪夢にうなされます。
大学生:
息苦しさを覚える時期がありました。
心臓の鼓動が速くなり、息を吸っても酸素がじゅうぶんに取りこめない感じです。
なぜか、通学のために電車を待つ時間に限って、息苦しくなりました。
しばらく続いたので、内科で心臓の検査をしました。
「なにか悩み事がありますか」と聞かれ、「特にないです」と答えたのを覚えています。
その時は、本当に悩みがないと思っていたのです。
アダルトチルドレンは、自分の置かれたつらい状況に気づきにくいのです。
そもそも、なにが「ふつうか」なのかわからない状況で、理不尽な仕打ちに耐えることを身につけているのですから。
当時、家庭環境は比較的安定していました。
地元では有名な大学に合格したのを機に、母のうつ病が劇的によくなったからです。
むしろ、母のうつ病が治り、学費の高い私立大学に通わせてもらい、自分は恵まれている、感謝しなければと感じていました。
さいわい、症状はそれほど重くなく、長くは続きませんでした。
アダルトチルドレン回復(克服)のため、心得ておくべき大切なこと

アダルトチルドレンだと気づいたら、あなたはどう感じますか?
「自分の人生がうまくいかないのはすべて親の責任だ」
親を責めたい気持ちになりますか?
そう感じるのは、当然のこと。
私も親を憎んだ時期がありました。
だからこそ、次のことを忘れないでください。
【アダルトチルドレンが心得ておくべき、大切なこと】
親を責めても生きづらさは解決しません。
わかり合えない虚しさが残るだけです。
人が持つエネルギーは限られています。
人(特に家族)を憎む行為は、多くのエネルギーを消費します。
ただ、自分の置かれた立場を正しく理解し、回復・成長していく過程において「親が悪い・親の責任だ」と感じる時期は、当然存在し、必要不可欠な過程とも言えます。
ですから、その気持ちを否定し、無理に「なかったこと」にしないでください。
自分の感情にふたをする行為(否認)は、アダルトチルドレンの特徴の1つです。
では、どうすればよいのか?
「親がわるい・親の責任だ」 と思う気持ちを十分に認めたうえで、その状態で立ち止まらず、親ではなく「あなた自身」に目を向けてください。
アダルトチルドレンという概念は、「自分」に目を向けるためのもの。
あなたの大切なエネルギーは、今からは「あなたのため」に使ってください。
私は、自分のために、次の2つのことを繰りかえし続けました。
①まずは具体的に動く
②具体的に動きながら、自分について「ほどほどに」考える
時間はかかりましたが、アダルトチルドレンから回復できたと思います。
以前のように、怒りに支配されることなく、罪悪感や切迫感に苦しめられることなく、穏やかな気持ちで過ごせるようになったからです。
詳しくは、『アダルトチルドレン回復(克服)&幸せに生きる方法【実体験あり】』をご覧ください。
アダルトチルドレンと気づくことで得られる2つのメリット

「自分はアダルトチルドレン」と気づくと、2つのメリットがあります。
- 自分の存在を初めて肯定でき、心が救われる
- 一定の回復の方法・プロセスがあることを知り、進むべき道が分かる
自分の存在を初めて肯定でき、心が救われる
22歳のとき、信田さよ子さんの『愛情という名の支配』(海竜社、1998)を読み、自分がアダルトチルドレンだと気づきました。
ずっと抱えていた生きづらさの正体がわかり、目の前の霧が晴れたような感覚でした。
「私が悪いわけではなかった。
むしろ、このような家庭のなかで、非行に走らず、病気にもならず、よく生き抜いてきた」
自分の存在を、今までの頑張りを、初めて認めることができました。
ACとは私たちの生まれ育った家族における親の影響、親の支配、親の拘束というものを認める言葉なのです。
出典:信田さよ子『アダルト・チルドレン〈自己責任の罠を抜けだし、私の人生を取り戻す12章 〉』(学芸みらい社 2021/10/25:P.210 )
🔳 一方で、認めることができなかった母との「共依存」
アダルトチルドレンと気づくのと同時に、自分と母の関係が共依存と呼ばれる関係だと知りました。
共依存は英語で「コ・ディペンデンシー(co-dependency)」と言います。それは分かりやすく言えば、「愛情という名を借りて相手を支配すること」で、「不幸でいながら離れられない関係」と言えます。
出典: 信田さよ子 『愛情という名の支配〈家族を縛る共依存〉 』( 海竜社 1998/9/1:P. 17)
漠然と感じていた重圧。
母に感謝しながらも、「母には恩がある・親孝行しなくては」という強い思いに、ずっと押しつぶされそうでした。
重圧の正体は、「共依存」だった。
しかし、当時の私は、どうしても認めることができませんでした。
頭で理解できても、心が拒否するのです。
「母は、この本のようなひどい親ではない」のだと……。
アダルトチルドレンや共依存について、多くの著書をもつ臨床心理士の信田さよ子さん。
最新刊(2021年 秋、出版)を紹介します。
克服したい課題・回復のプロセス(過程)を知り、進むべき道が分かる
今までは、誰のことも頼りにできず、どこに向かって走ればいいのかもわからず、ただ必死に耐えてきたのではないですか?
今からはちがいます。
アダルトチルドレンが生きづらさを解決するには、
- 克服したい課題
- 回復のプロセス(過程)
があります。
物事のとらえ方・人間関係の築き方など、自分の生きづらさにつながっているもの。
それが、生まれつき性格ではなく、生まれ育った家族のなかで生き延びるために身につけたものならば、丁寧に見直し、学び直せばいいのです。

最初の一冊におすすめの本を紹介。
わかりやすい表現、シンプルな構成です。
参考:
緒方 明『アダルトチルドレンと共依存』(誠信書房 1996/10/5)
斎藤学「『毒親』の子どもたちへ」(メタモル出版 2015/2/23 )
信田さよ子『アダルト・チルドレン〈自己責任の罠を抜けだし、私の人生を取り戻す12章 〉』(学芸みらい社 2021/10/25 )
信田さよ子『愛情という名の支配〈家族を縛る共依存〉』(海竜社 1998/9/7)
信田さよ子『子どもの生きづらさと親子関係〈アダルト・チルドレンの視点から〉』(大月書店 2001/6/8 )
アスク・ヒューマン・ケア研修相談室『アダルト・チャイルドが自分と向きあう本』(アスク・ヒューマン・ケア 1997/3/1)
スーザン・フォワード『毒になる親 〈一生苦しむ子供〉』(講談社 2001/10/20)
「毒親育ち」「アダルトチルドレン(AC)」って、どんな人?
診断基準はある?
どんな問題があるの?
ACと分かったら、どうすればいい?