子育て|過干渉の親に育てられた私が子どもに用意した「選択肢」

風船で空に浮かぶ子どもたくさん用意する

人生の「選択肢」はたくさんあった方がいい。
そう思います。
人生というと、ちょっと大げさに聞こえるかもしれません。
日常生活における選択肢と言いかえてもいいです。

将来どこに住み、どんな仕事をしたいか。
進学する高校・専門学校・大学。
今日の夕食のメニュー。

大きなことから小さなことまで、「絶対に○○じゃないと!」と思いつめるより、「これがベストだけど、あっちでもOK」くらいの方が生きやすいし、楽しいと思うのです。

そう感じるようになったのは、母と自分の選択肢がいつも限られていたからです。
毎日が息苦しく、切羽つまった感じがしました。
過去を悔やみ、必要以上に将来を心配し、今この瞬間を失っていました。

子どもができたとき、わたしは自分に誓いました。
「わたしは親のようにはならない」と。

人生の先輩として親の意見を伝え、できるかぎりの選択肢は提示する。
そして、最後の判断は子どもに任せる。

子どもの判断を親が信頼できるよう、子どもに手をかけることを惜しまない。

安全上の問題がある場合を除き、心がけてきたことです。
「心がけてきた」と表現した理由は、私が未熟なせいで守れないこともあったからです。

しかし、「親が意識してこのような子育てを心がけている」と子どもが実感していること。
それが大切だと思います。

理不尽に親の意見を押しつけられる心配がないという安心感。
10代になっても子どもがいろいろな話をしてくれるのは、この安心感のおかげだと思います。

今回は「選択肢」をキーワードに、我が家の子育てを紹介します。

kaho

管理人のkahoです。今はすっかり回復しましたが、元アダルトチルドレン(AC)です。元ACの保育士だからこその子育てを紹介しています。
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子育ての方針 | 日常の小さなこと

「お母さん、どう思う?」
子どもは、そんなふうに親に意見を求めることが多くあります。

保育園のときは、服のコーディネート
小学生のときは、習いごと
中学生のときは、友だちとの関係など

人生経験の少ない子どもなら当然ですね。

人生の先輩として親の意見を伝え、できる限りの選択肢は提示するが、最後の判断は子どもに任せる

洋服選びのような小さなことでも、できる限りこのスタンスを保つようにしてきました。

たとえば、おしゃれに目覚めたばかりの5・6歳の女の子。
柄物の洋服が好きですよね。

Tシャツは花柄・スカートはチェック・スパッツはボーダー。
その状態で「どう?」なんて聞かれても……。

「うーん、好みの問題だけど。柄と柄はどうだろう?
この組みあわせの方が好きだな」
などと声をかけ、ちがう組みあわせを教えてあげます。

「どうしても柄と柄がいいなら、べつに反対はしないよ……」というわたしの言葉に、全身柄物で満足げに保育園に行ったこともありました。

1つ1つ取りあげると本当に小さな話です。
けれど、子どもとの信頼関係は、こうした小さな積み重ねの結果だと思います。

忙しい時間など、ついつい口調がきつくなったり、目力が鋭くなってしまったり……。
朝のお出かけ前・空腹で疲れている夕食前は、要注意です。

そういう私も反省ばかり……。

kaho

そんなとき、保育士研修で言われたことを思い出します。
「保育園で『警察官』になっていませんか。
目は『月目』で、ニコニコしてくださいよ」
保育士たちは大爆笑。
みんな心当たりがあるんだろうなぁ。

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子育ての方針 | 進路について

「どんな人生を歩みたいか」につながる、とても大きな話ですね。

毎日の生活のなかで、興味があることを大切にしてごらん。
そうすれば、自分がどんな仕事に向いてるか、どんな姿勢で働きたいか、自然にわかってくるよ

子どもにはこのように伝え、上手い下手に関わらず、興味のあることはできるかぎり応援しました。

また、日常生活において、身近で働く人の姿に目を向けられるよう、言葉がけをしました。

「勉強しなさい」とは敢えて言いませんでした。
ただ、仕事を選ぶうえで、勉強ができる方が仕事の選択肢が増えることは伝えていきました。

このころ、読解力がついてきたので本も活用しました。

「新 13歳のハローワーク」
村上龍

中学校の職業体験までには読んでおくといい本。
2003年発売され、ベストセラーになった本の改訂・新装版です。

13歳を中心とした若者に向けて書かれた職業図鑑ですが、大人が読んでも十二分に読みごたえがあります。

社会には、どのような仕事が存在するのか。
561ページにわたり、多種多様な職業が掲載されています。
興味がある「教科」から仕事を探せるようになっており、子ども目線ですね。

子どもたちは、興味があるところだけ拾い読みをしています。
勉強机のすぐ横に置いてあるので、必要なときに取り出して読んでいるようです。

個人的には、本の最初の「はじめに」・各章の「Essay」も好きです。

「自分が若いころに出会いたかった!」と悔しくなる本です。

「なぜ僕らは働くのか〈君が幸せになるために考えてほしい大切なこと〉」
監修 池上彰

「新 13歳のハローワーク」が職業図鑑なら、この本は「働くとはどういうことか」について書かれた本です。

教師になる夢を迷いはじめた長女。
「どんな仕事をしたいかということは、なにを大切に生きていくかということだよ」
そうアドバイスをしてこの本を渡しました。

高校生になったいま、本に小さな折り目がたくさんついていました。

主に中学生や高校生に向けて書かれていますが、大人にもおすすめしたい本です。

上述の「新 13歳のハローワーク」と合わせて読むと、子どもの進路探しには無敵です。

kaho

“「いい子」を捨て自分の人生をつくろう” (P.194)の箇所。
アダルトチルドレンだった当時の自分に読ませてあげたいなぁ……

「君たちはどう生きるか」
原作 吉野源三郎/漫画 羽賀翔一

「人生において、なにを大切に生きていけばいいか」
1937年に書かれた小説を原作とした、若者に向けて書かれたマンガです(多少の文章もあり)。
人間関係・自分自身について本格的に悩みはじめるようになったらおすすめです。

文章の部分は、小学校高学年の子どもにはむずかしいかもしれませんが、マンガだけでも思春期の子どもに伝わる部分は多いです。

子どもたちが興味をもったこと

  • 保育園のころ
    おままごと・粘土などの造形活動・絵本
  • 小学生
    アクセサリーづくり・海外のコメディドラマ・洋楽・芸能人・発展途上国への支援・ピアノ・歌うこと・学芸会・絵を描くこと・マンガ
  • 中学生
    部活・学校行事(体育大会、文化祭や生徒会)・外国人の暮らしぶり

中学生と高校生になった子どもたちの決断

高校生の長女はー
中学時代、最初の半年は部活動に熱中。
教師になる夢ができてから、勉強もがんばりました。

必然的に、高校は進学校へ。
忙しかった中学時代の反動もあり、部活より勉強優先です。

教師への夢に迷いが出てきた長女。
「教師の夢は大切にすればいいが、まだ限定しなくてもいいと思う。
今はいろいろなことにチャレンジして、可能性を広げてみたら」とアドバイスしました。

中学生の次女はー
部活動はコロナ禍ということもあり縮小気味。
趣味と勉強の両方を大切にしています。

看護師になりたい時期が1年くらい続きましたが、今は白紙状態。
選べる仕事が増えるよう、進学校に行くことを決めています。

夫と私の学生時代のはなし

私たち夫婦は、自分たちの進路に反省がありました。
それが、子どもたちが幼いころから仕事について話題にしてきた理由です。

夫も私も、進学校を経て大学に進みました。
しかし、大学の学部とはまったく関係ない仕事に転職しました。

夫は、忙しすぎて体を壊すと思い、時間に余裕がある仕事へ。
私は、自分の価値観がすっかりかわり、会社の事務員から保育士へ。

若いころ、もっといろんな仕事に目を向けていたら。
どんな人生を送りたいのか、日頃からもっと意識して過ごしていたら。

わたしに至っては、少し大げさに言えば、勉強を憎んでいるところがありました。
中学・高校時代、興味があることに背を向け、わきめもふらず勉強だけしてきました。
奨学金が一部免除になるほど、大学でも懸命に勉強しました。

勉強のせいで、10代でしか経験できない大切なことを失ってしまった気がしていました。

そのような偏った学生時代を送ってしまった背景には、わたしの生い立ちがあります。
わたしの選択肢は、いつも限られていました。

争いの絶えない家庭で、母が泣いたり怒ったりする。
母を喜ばせる「いい子」になるしか道がありませんでした。

また、自分自身も、いつしか視野の狭い人間になっていました。
高学歴で一流企業に就職する以外の道はないのだと……。
もちろん、一流企業で働くことを否定しているわけではありません。

自分自身と向きあわず、自分のほんとうの望みを知らず、選択肢を絞ってしまうような生き方。
それは、とても危険だと痛感しているのです。

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子育ての方針 | 将来の結婚・暮らしについて

「大人になったら、好きな場所で好きなように生きればいい。
介護施設は自分で探しておくから心配しなくていいよ」

「自分の家族をもつことは素敵なことだよ。
けれど、結婚も子どもも絶対じゃないから、自分の好きなようにすればいい」

「もし女の子を好きになったら言ってね。最初はびっくりしちゃうかもしれないけど」

子どもにはそう伝えています。
将来の結婚や暮らす場所など、自分の思うように選択してほしいからです。

本音を言えば、子どもが近くにいてくれた方がうれしいのです。
長女は外国での暮らしに興味があるので、日本から離れることもあるでしょう。

いつか、子どもたちが遠くで暮らし、年老いてこの家で1人になったとき。
自分の言葉を後悔するときがくるかもしれません。

でも、後悔することを覚悟しながらも、子どもには自由に生きてほしい。

わたしを精神的な支えにしてしまった母。
会社の寮に入ると言ったわたしに「親を捨てるのか」と泣き崩れ、結婚が間近に迫ると不安定になった母。

逃げようとしても、どこまでもどこまでも追いかけてくる気がしました。
夢のなかでさえ、追いかけてくる母から必死で逃げました。

親の過剰な期待を感じ、親にとって都合のいい生き方しか認めてもらえない。
それは、ほんとうに苦しいことなのです。

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子育てに対する思いを子どもに説明 |「経験」を「風船」に例えた話

子どもたちがまだ小学生のとき。
わたしたちがどんな思いで子育てをしているか、夫が話したことがありました。
子どもがイメージしやすいよう、イラストを描きました。

実際に描いたものは捨ててしまったので、似たイラストを「イラストAC」で探しました(↓)。

「経験」を「風船」に例えた話

「お父さんやお母さんは、あなたたちにいろいろな『経験』をしてほしい。
『経験』って言うとむずかしいから、『経験』を『風船』と考えてみて。

風船は少なくても大丈夫だけど、たくさんあった方がいいと思う。
たくさんの風船があると、より高く、より遠くに飛ぶことができ、見える景色も広がるよ。
その方が、人生の『選択肢』が増えるし、楽しいと思う。

失敗もあるけれど、それも大切な経験だから、どんどん失敗すればいい。
失敗して嫌な思いをしたときは、ちゃんとフォローしてあげる。

安心してチャレンジしてごらん」

このとき以来、風船という言葉は、我が家にたびたび登場することになります。
最初に風船のたとえ話をしたときのこと。
長女はつよく印象に強く残っているようです。
長女が「1/2成人式」で私たちに書いてくれた手紙には、「風船」の話が登場し、笑ってしまいました。

kaho

「経験」についての話は、またの機会に

【追記:2021.8.10】
「子育て |「経験」を大切にする4つの理由」を投稿しました。

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最後に |「私は親のようにはならない」という誓いの弊害

長女を出産してから16年。
今、これまでの子育てを振りかえって思うのです。

「私は親のようにはならない」という誓い。
子育てにおいて、この誓いがアダルトチルドレンを苦しめる一因になっているのではないか。

子育てをはじめたころ、アダルトチルドレンと気づいてから10年ちかくの歳月が流れていました。

この頃のわたしは、心穏やかな日々に幸せを感じ、アダルトチルドレンから回復できたことを実感していました。
「10年間、やれることはすべてやってきた、自分は大丈夫」という自信がありました。

それでも、子育てに関しては一抹の不安がありました。
「わたしは、あの母の娘なのだ」

子育ては、本当にたいへんなことです。
まして、アダルトチルドレンなら尚更です。

いまから思えば、「わたしは親のようにはならない」という誓いに、強いプレッシャーを感じていたのです。
この誓いを完璧に守ろうと、自分の子育てに点数をつけていたのですね。

不安になるのは、月経がくる少し前のタイミングだったかもしれません。
そんなとき、児童精神科医の佐々木正美先生の本『子どもへのまなざし』を開きました。

保育士の勉強会で正美先生と出会って以来、 『子どもへのまなざし』 はわたしの保育・子育てのバイブルになっていました。
先生の本を開くと、不思議と心が落ち着きました。

それでも不安なとき、「わたしの子育て、だいじょうぶ?」と夫に確認しました。

夫は必ずこう答えてくれました。
「kahoは、kahoのお母さんよりいいお母さんだよね。
ぼくは、kahoのお父さんよりいいお父さんだよね。
それに、孫をかわいがってくれるじいちゃんとばあちゃん(夫の両親)がすぐ近くにいるでしょ。
いい子に育たたないはずないよ」

そう諭されると安心しました。
夫の母は、わたしの母とは正反対の性格です。
嫁の私に対しても、高すぎる理想をもたず、ありのままの姿を認めてくれました。

ときおりやってくる子育ての不安から解放されたのは、長女が小学1年生になるころでした。
母親の機嫌をとるような「いい子」ではなく、のびのびと子どもらしくふるまう姿を見て、もう大丈夫だと安心しました。

「私は親のようにはならない」という誓いを守ろうと、自分に厳しくなりすぎていませんか?
自分に厳しすぎる人は、人にも同レベルの厳しさを求めるものです。
その結果、皮肉にも誓いに反して、子どもに厳しくなってしまうことがあります。

それでも、誓いをたてずにはいられない。
それが、私たちアダルトチルドレンの現実ですよね……。

完璧を目指さず、ほどほどのバランスを心がけてみましょう。

kaho

自分の子育てに点数をつけるのではなく、今この瞬間を、子どもと楽しんでみましょう。
少しずつ一歩ずつ。

児童精神科医の佐々木正美先生の勉強会の内容をまとめた本です。
乳幼児に関わる保育士・幼稚園の先生との勉強会を大切にされていた正美先生。
先輩に誘われたのをきっかけに、わたしも数回ほど参加しました。

子育てに不安になったとき、この本を開くとなぜか気持ちが落ちつきました。
お母さんの気持ちに寄り添うこと。
それが正美先生の信条だからではないでしょうか。

機能不全家族で育ったわたしに必要不可欠だった育児書。
子どもに関わる仕事をする方には、ぜひ読んでもらいたい一冊。

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