「臨床心理士」とは、臨床心理学にもとづく知識や技術を用いて、人間の「心」の問題にアプローチする心の専門家です。
わたしは、仕事とプライベートの両方で、臨床心理士と関わる機会がありました。
ここでは、臨床心理士に関する基礎知識と、実際に関わった感想などを記しています。
臨床心理士とは | 人間の「心」の問題にアプローチする心の専門家

臨床心理士とは、冒頭で述べたとおり、臨床心理学にもとづく知識や技術を用いて、人間の「心」の問題にアプローチする心の専門家です。
臨床心理士になるためには、公益財団法人 日本臨床心理士資格認定協会の資格試験に合格することが必要です。
また、受験するには、所定の受験資格の取得が必要です。
くわしくは、『公益財団 法人日本臨床心理士資格認定協会』のホームページをご参考に。
臨床心理士は国家資格ではなく民間の資格ですが、他の心理系の資格と比べると、高い信頼性があるようです。
理由は、受験資格の時点で、厳しい条件があるからでしょう。
働く場は、教育・医療・福祉・司法・産業・私設のカウンセリングルーム(心理相談室)など、多岐にわたります。
教育分野でいえば、スクールカウンセラーがイメージしやすいでしょう。
2017年、心理職における初の国家資格である「公認心理師」が誕生し、臨床心理士資格の優位性がどうなるのか、まだ予測がつきません。
仕事・プライベートで関わった臨床心理士に対する感想

わたしは、仕事とプライベートの両方で、4人の臨床心理士と関わる機会をもちました。
4人とも、「聡明」という言葉がぴったりの人柄でした。
ただ、彼女たちは高い競争率を勝ち抜き、臨床心理士の採用枠で公務員試験に合格しています。
臨床心理士のなかでも、とくに優秀なのかもしれません。
けれど、市の施設で臨床心理士と面談した友人は、いいイメージをもたなかったようです。
「勇気をだして子育ての相談に行ったのに、非難されたように感じた。とても居心地がわるかった」と落ち込んでいました。
どのような職業でも共通することですが、その能力は十人十色だと思います。
教育分野で活躍する臨床心理士
20代半ばから延べ13年間、わたしは保育士として働いています。
後半の6年間は、市が運営するプレイルーム(小学校入学前の子供が保護者と遊ぶ場)に在籍しました。
そこでは、保育士の業務の一環として、保護者の子育ての相談に応じることがありました。
臨床心理士も定期的に本部からやってきて、保護者の相談に応じたり、保育士にアドバイスを授けたりしました。
この6年間で、年齢も経験も異なる3人の臨床心理士と関わり、臨床心理士に対する信頼が育ちました。
「心」に関する確かな知識と技術、仕事に対する責任感、好感のもてる人柄。
3人の臨床心理士のうち1人は、大学院を卒業したばかりの新人でしたが、仕事ぶりはとても頼もしいものでした。
元アダルトチルドレンとして、保育士として、子どもの母親として、心と育児に関する知識はある方だと自負していましたが、彼女たちから学ぶことばかりでした。
私設のカウンセリングルーム(心理相談室)で活躍する臨床心理士
父は73歳で仕事を引退した後、母に精神的な虐待をされていました。
母は、自己愛性パーソナリティ障害の特徴を強め、まともにコミュニケーションをとれる状態ではなかったため、臨床心理士に相談することにしました。
人づてに、カウンセリングルームを開設する臨床心理士に出会いました。
60歳前後のとてもパワフルな女性です。
元は、学校の教員だそうです。
料金は50分8,000円。
わたしの場合、4か月で12回通い、合計96,000円とかなり高額になりました。
この12回のなかで、相談内容は少しずつ変化していきました。
母の精神的虐待をどのように阻止するか
→(阻止できなかったので)父をどうやって救出するか
→次第に追いつめられていく、わたしのメンタルを、どのように回復するか
保険がきかないため、かなり高額な費用です。
しかし、優秀な臨床心理士なら、それだけの価値はあると思います。
彼女のアドバイスがなければ、どのように父を救ったらよいの検討がつきませんでした。
また、わたしのメンタルの落ち込みも、あの程度ではすまなかったと思います。
激怒する母と目に見えて弱っていく父。
精神的に追いつめられたわたしは、初めて母との絶縁を考えました。
母との歪んだ関係に気づいてから20年。
どれほど傷ついても、母と縁を切る選択は、わたしにはありませんでした。
しかし、今回だけはもう無理だと思いました。
著しくメンタルが落ちこみ、いつのまにか笑えなくなっていました。
母の存在は、大切な家族との生活を脅かしはじめました。
「母と縁を切りたいんです。どうすればいいですか」
泣きながら相談するわたしに彼女は言いました。
「絶縁は構わない。でも、お母さんの場合、自殺する可能性がある。
そのとき、kahoさんは自分を責めないでいられますか。
自分を責めて、今よりももっとつらくなるようなら、絶縁はやめた方がいい」
わたしにとって、臨床心理士に相談すること。
それは、「自分では判断がむずかしい問題を整理し、よりよい選択肢を見つける手助けをお願いする」ことです。

臨床心理士を探すとき、『アダルト・チルドレン〈アルコール問題家族で育った子供たち〉』のなかの「セラピストの選び方」(P. 194)が参考になるかもしれません
アダルトチルドレン研究の創始者であるジャネット・ウォイティッツの著書です。
(著作権侵害になるので、転載できません)
出版年数が古く、中古でも高額なため、図書館で借りるといいかもしれませんね。
ちなみに、わたしが相談した臨床心理士は、ホームページはもたず、インターネット上のタウンページなどに業者登録しています。
業者登録には、○○カウンセリングという名称で登録し、分野は「児童相談サービス」「心理カウンセリング」「心理療法」「悩み事相談サービス」などに該当します。
スクールカウンセラーを務めるかたわら、講演会も行う多忙な身であるため、敢えて口コミで顧客を確保する程度にしているのかもしれません。
無料で臨床心理士に相談する方法

わたしの住む地域では、子育て中の親は、なんらかの方法で臨床心理士に無料で相談できます。
子ども自身も、スクールカウンセラーに相談できます。
地域差はあると思いますが、全国的に同じような福祉体制ではないかと思います。
小学校入学前の子どもをもつ親 | 市の子育て担当の部に予約し面談(電話での相談も可能) |
小・中・高等学校の子どもをもつ親 | スクールカウンセラーに相談 |
また、子育て中の親でなくても、精神保健福祉センターに心の悩みを相談することができます。
相談の担当者が臨床心理士の資格をもっていない可能性はあるので、確認してみるとよいでしょう。もちろん、臨床心理士の資格をもっていなくても、優秀な相談員はたくさんいます。
実際、わたしの友人の一人に、とても優秀で、仕事熱心な公務員がいます。
学生時代から福祉につよい関心をもち、ボランティアをしながら熱心に勉強していました。
いまも学生時代とかわらない熱意で、福祉に取りくんでいます。
また、無料ではありませんが、心理系の学科がある大学のなかには、相談室を設けており、地域住民も利用できる場合があります。
料金設定は、一般のカウンセリングルームより低めです。
ただし、臨床心理士や大学教員の指導のもと、研修の一環として大学院生が行うようです。
詳細は、地域の大学に問い合わせてみるとよいでしょう。

心の悩みについて、もっとオープンに専門家に相談できるといいですね
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