このような悩みに、私の実体験にもとづきお答えします。

この記事を書いている私
40代の元アダルトチルドレンです。
22歳、「アダルトチルドレン(AC)」と気づき、生きづらさの正体を知る。
30歳、 ACからの回復に自信をもつ。
35歳、「私は親のようにならない」という誓いから解放される。
現在は、夫と子どもと共に田舎暮らし。
くわしいプロフィールはこちら。
「○○すべき」
「○○じゃなきゃ意味がない」
歪んだ家庭で学んでしまった、まちがった価値観にいつも追い立てられていた私。
この価値観を修正することが、アダルトチルドレン回復(=生きづらさ解消)のカギでした。
最近になって、斎藤学さん(アダルトチルドレンの概念を日本に導入した精神科医)の著書を拝読しました。
やはり、まちがった価値観を修正することは、とても重要なようです。
● 価値観念をはずせば生きやすくなる
私がクリニックでやっていることは、最初から最後まで患者さんの凝り固まった“価値観念をはずす”ということにつきます。
出典: 斎藤学「「毒親」の子どもたちへ」(メタモル出版 2015/2/23:P.110 )
あれでもよい、これでもよい、こういう方法もある……、とたくさんの選択肢を柔軟に検討できる。その中から自分で「これがよい」と思ったものを選択し、選択した結果を他人のせいにしない。これは大人の条件です。(後略)
私は、価値観を修正するために「2つのこと」を実行し続けました。
実行し続けた2つこと:
- まずは具体的に動く
- 動きながら、自分について「ほどほどに」考える

この記事は、「①具体的に動く」のなかでも、私の人生を大きく変えたベスト3」を取り上げました。
関連記事は『アダルトチルドレン回復(克服)&幸せに生きる方法【実体験あり】』です。
私の人生を大きく変えたベスト3(21~26歳):
- 1人で海外旅行(まずは2週間、次は2ヵ月、最後に12日間)
- 「大手企業の事務職」から「保育士への転職」
- 母と物理的な距離を置く(家を出る)
思い切りのいるものばかりですが、その分、人生を変えるほどの影響力でした。
短期の語学留学から始まった「1人で海外旅行」

大学4年生で就職が決まって時間ができたころ。
英語好きだった私が思いついたのが海外1人旅です。
節約すれば何とかなる程度のアルバイト代は貯まっていました。
英会話のレベルは、旅行に最低限困らない程度。
目標:
- 新しい価値観にふれ、凝り固まった価値観念をくずす
- 達成感を味わい、自信をつける
まずは、短期の語学留学でカナダに2週間行ってみました。
これが予想以上に楽しめました。
その後は、1人旅が趣味に。
・ 卒業旅行でニュージーランドに2ヵ月
・ 就職後はスイスに12日間
バックパッカーと呼ばれる旅行者が泊まる安宿を拠点に、気の向くままに旅をする。
綿密な計画なく行動するなど、初めての体験だったかもしれません。
目にする景色、出会う人すべてが刺激的で、凝り固まった価値観念に風穴を開けてくれるように感じました。
🔳 学んだこと・回復(克服)したこと
- 新しい価値観にふれ、刺激を受けた
- 達成感を味わい、自信がついた
- 家族と物理的に離れることで一時的に争いから解放され、「心から楽しい」と思える感情を取り戻した
- 海外旅行中に多くの人と関わるなかで、自分が思うより「人が好き」と気づいた
③ ④については、目標にしていた① ②以外の、予想外のうれしいおまけでした。
解説すると……。
③ 「心から楽しい」と思える感情を取り戻した
家族の争いごとに振りまわされず、自分のためだけに自分が決めたことができました。
結果的に、忘れていたプラスの感情を呼び戻すきっかけになりました。
(自分だけが楽しく過ごすことに大きな罪悪感はありましたが……)
心からワクワクし、
「今この瞬間がとても愛おしく、明日が来るのが待ち遠しい」
「生きてる!」
と全身で感じました。
これは、アダルトチルドレンにとって、とても大切なことです。
なぜなら、私たちは長い間、自分の感情を抑えつけることを要求されてきた結果、生きる原動力となるプラスの感情が乏しくなっているからです。
家族のためではなく、純粋に自分のために「楽しい」「心地よい」と感じる気持ちを取り戻す。
それは、「生きるエネルギーを得ること」につながります。

人生の主役を家族から「自分」に戻すこと。
それが大切。
④ 自分が思うより 「人が好き」と気づいた
家庭環境が悪化しはじめたのは小学5年生。
この頃から、人と一緒にいても疲れるようになりました。
誰も自分のことをわかってくれない、自分も人のことがわからない……。
ところが、 旅行中は、人との交流が楽しくてしかたなかった。
バックパッカーの多くは20代。
私より年上で、社会人経験者がほとんどでした。
彼らが集まる安宿では、お互いに情報交換したり、気が合えば一緒に食事をしたり、出かけたりもしました。
「この旅を最高に充実したものにしたい」 という共通の思いが、私たちをいつもより積極的に、友好的にしていたのだと思います。
非日常の限定された場所だったにせよ、私にとって予想外の大きな収穫でした。
語学留学に興味がある方へ
私は、カナダとニュージーランドの語学学校に、それぞれに2週間ほど通いました。
午前中は学校、午後と週末は観光といった感じです。
語学留学した理由:
- 海外旅行に猛反対していた母の許可を得るため
- いきなり単独での海外旅行は不安だった
「海外に興味があるけれど、自信がない……」
そんな方には、語学留学はおすすめです。
■ まとめ
ちょっとしたことよいので、まずは具体的に動く。
新しい価値観に触れたり、達成感を味わったり、楽しいと思える時間を過ごす。
その過程で人と出会い、(変化している)自分について「ほどほど」に考えてみる。
「大手企業への就職」と「保育士への転職」

必死に勉強し続け、ようやく手にした大手企業への就職。
仕事・職場の人間関係・福利厚生など、とても恵まれていました。
しかし、精神的な成長にともない、私の価値観は少しずつ変化。
福祉の分野に興味を持つようになりました。
「人の幸せに関わる仕事がしたい」
「自分と同じような立場の子どもの力になりたい」
そんな思いは日増しに強くなり、抑えきれなくなりました。
大手企業のブランドを捨てての転職。
今までの努力をすべて無駄にすることでは?
そんな思いが根強くありました。
けれど、「自分にとって一番大切なことはなんだろう?」と考えたとき、転職する決心がつきました。
🔳 当時の私にとって一番大切なこと
目標:
- 生きづらさを抱える子どもの力になりたい
- 自分が子ども時代に失った「大切な何か」を見つけ、取り戻す
②について、解説すると……。
② 自分が子ども時代に失った大切な何かを見つけ、取り戻す
この時期、少しずつアダルトチルドレンから回復している手ごたえがありました。
- 楽しいと思える時間が増えた
- 大切に思える友人ができた
- 自分自身を客観的に見て、修正するコツをつかんでいた
- 母との共依存関係から必死に逃れようとしていた
でも、自分には、まだ「大切な何か」が決定的に欠けている気がしていました。
それが何か、どうしても分からなかった。
「大切な何か」 が子ども時代に失ったものなら、子どもたちと一緒に過ごすことで、答えが見えてくるのではないか?
なぜか分からないけれど、確信にちかい強い思いでした。
保育士になろう。
そう決断してから3か月間、独学で猛勉強。
保育士試験に合格、会社を退職。
その後、保育園の正規採用試験に合格。
保育士として子どもに関わる一方で、子育てについて熱心に勉強しました。
大きな転機は、児童精神科医の佐々木正美さんとの出会いでした。
研修に加え、佐々木先生の本を何度も読み返しました。
「自分の家族が、私の成長にどのように作用し、どの段階で何を失ったのか」
しっかりと理解できました。
🔳 学んだこと・回復(克服)したこと
自分が子ども時代に失った 「大切な何か」を見つけ、取り戻した
「大切な何か」 を言葉で表すのはむずかしいですが……。
次のようなこと。
- 「今その瞬間」を生きること
子どもたちは、過去も未来も関係なく、目の前のことだけすべて。
自分の感情に偽りがない分、さっぱりしていました。
(例:泣いたり、怒ったりしたかと思うと、次の瞬間には心から笑う) - 人への信頼感・自分への肯定感(自己肯定感)
ケンカしたばかりの友だちと心から笑い合う姿に、人に対する絶対的な信頼を感じました。
また、ありのままの自分を認める姿を目の当たりにしました。

「そんなありふれ知識、誰もが知ってるよ」
そう思いますか?
確かにそのとおりです。
しかし、「知識」と「体験」の間には、天と地ほどの差があるのです。
知識:
知ってはいるけど、まだ身についてない。
必要なときに思い出せなかったり、思い出してもうまく活用できない場合がある。
体験:
ある程度、自分のものになっている。
必要なとき、自分を助けてくれるスキルになる。
幼い子どもたちとの生活は、「物事はこうあるべき」との私の凝り固まった価値観念をくずし、乾いた心をうるおして、みずみずしい感情を呼び戻してくれました。
また、児童精神科医の佐々木正美先生の教えを子どもたちに実践することで、自分が生まれ育った家庭では得られなかった「心が通い合う体験」をしました。
保育士の仕事に興味がある方へ
肉体的にも精神的にもたいへんな仕事です。
それでも保育士を続けるのは、他の仕事にはない大きな魅力を感じるから。
子どもの心に寄り添い、成長を見守る。本当にやりがいがある仕事だと思います。
現在はパート保育士の私。
家事・育児・仕事の3つのバランスがちょうどいい感じです。
※保育士資格に興味がある方は「ヒューマンアカデミー」、保育士の就職なら「 保育専門求人サイトほいく畑」がおすすめ。
もちろん、保育士にならなくても、回復に必要な知識を学び、体験し、確実に自分のものにすることはできます。

今の環境で、手軽にできることを紹介します
🔳 誰でも手軽にできる「 回復に必要な知識を学び、体験する」
- アダルトチルドレン・共依存に関する本を読み、回復に必要な知識を学ぶ
一般的な自己啓発本はおすすめしません。
理由:
アダルトチルドレンの育ち・感情が配慮されておらず、「実行がむずかしい→落ちこむ」の悪循環におちいるため。 - 得た知識を日常生活で実践したり、「手本になる人」を見つけてまねをする
得た知識を日常生活で実践してみましょう。
場数を踏むのが大切です。
失敗や成功を繰り返し体験することで、知識が少しずつ自分のものになっていきます。
また、身近に「手本になる人」を見つけて観察し、まねをするのも効果的。
学校や職場など、お手本になる人が1人くらいはいるものです。
一緒にいると、不思議と警戒心が和らぎ、リラックスできるような人。
相手の意見を尊重しながら、自分の意見も上手に伝えられる人。
今を楽しむ気持ちを忘れず、人にも自分にも完璧を求めず、ありのままを受け入れる人。
焦らず、ゆっくりで大丈夫。
忍耐と時間は必要ですが、少しずつ、確実に良くります。
自分の家族から学べなかったことは、学び直せばよいのです。
■ まとめ
回復(克服)に必要な知識を学ぶ。
得た知識を日常生活でくりかえし実践するなかで、自分のものにしていく。
「手本になる人」を見つけてまねをするのも効果的。
母と物理的な距離を置く(家を出る)

家を出ることは、アダルトチルドレンの回復(克服)に有効な手段だと思います。
メリットは、次の2つ。
メリット:
- 親の束縛や攻撃による精神的な苦痛から、ある程度解放される
- 親と離れることで、
・回復が進みやすくなる
・親との関係を改善するチャンスになる
未成年の家出は、犯罪に巻き込まれる可能性が高いので危険
精神的に辛い場合、スクールカウンセラーなど、心の専門家に相談しましょう。
未成年でなくても、ネットで知り合ったような、素性のわからない人を頼りにしすぎるのは危険です。
命にかかわる問題・身体的虐待・性的虐待があれば、「児童相談所 虐待対応ダイヤル」【189いちはやく】などに電話するなど、一刻も早い対応を!
詳しくは『政府広報 DV/児童虐待はすぐに相談を。』のホームページへ。
メリットについて解説すると……。
① 親の束縛や攻撃による精神的な苦痛から、ある程度解放される
「ある程度解放される」としたのは、物理的に離れても、電話や訪問などをしつこく受ける可能性が高いからです。
②親と離れることで、回復が進みやすくなる・親との関係を改善するチャンスになる
離れて暮らせば、自分の言動のすべてに介入されなくなります。
家を出ても、「あなたの心に住みついて、あれこれ指示を出す親」を追い出すことはできません。
しかし、心に住みついた親と決別する準備段階として、まずは家を出る。
そこに大きな意味があると思います。
また、物理的に距離をおいた方が、冷静になれます。
親との関係を改善するチャンスになるかもしれません。
もちろん、デメリットもあります。
デメリット:
- まとまったお金が必要
- 親との共依存関係が強い場合、つまり「お互いに不幸でいながら離れられない関係」が強い場合、不安や親を見捨てたという罪悪感を抱える
デメリット①を解説すると……。
① まとまったお金が必要
1人暮らしに必要は初期費用は、平均50万円ほど。
・ 住宅費用(敷金・礼金・仲介手数料など)
・ 引越し費用(無料 見積もり比較)
・ 生活用品の購入費用(家電・家具など)
費用を抑えるなら、「社員寮」・「借り上げアパート・マンション(家賃の一部を会社が負担)」をもつ会社に就職(転職)するのがおすすめ。
寮の場合、住宅費や光熱費の負担が少なく、家具もほぼ備え付け。
食事の提供があったり、困ったときに相談できる管理人が常駐する場合もあります。
転職に関心がある方へ:
社会人のための転職情報は「リクナビNEXT」、転職情報だけでなく転職活動のサポートが必要なら「リクルートエージェント」がおすすめ
デメリット②を解説すると……。
② 親との共依存関係が強い場合、不安や親を見捨てたという罪悪感を抱える
親との共依存関係が強い場合、注意が必要。
親に反発しながらも精神的に依存しているので、すべてが自己責任になることに不安が生じます。
また、自分にすがる親を見捨てたという罪悪感を抱える場合もあります。
(本当は見捨てたのではなく、精神的に自立しようとしている)
私の場合、海外旅行で家をしばらく離れただけで、強い罪悪感を感じました。
自分だけ楽しい思いをして母に申し訳ないと。
(今思えば、異常な思考回路ですが……)
しかし、アダルトチルドレンから回復するには、共依存から抜け出さす必要があります。
いつかは精神的に自立しなければ、自分の人生を生きることはできません。
そう考えれば、家を出るデメリットは、①の「まとまったお金が必要 」のみです。

ちなみに、私は家を出ることに最初は失敗。
話を切り出すタイミングは、くれぐれも慎重に。
また、家を出る理由は、仕事の都合・関係改善のためなど、前向きな理由を前面に出すと円満に進みやすいかも。
「このままではお互いダメになる。家を出て会社の寮に入ろう」
自分の気持ちを優先するようになってから、母との関係は少しずつ悪化。
母は、私の精神的な自立を「成長」ではなく「裏切り」と感じていました。
反発しながらも、母を大切に思っていました。
関係を悪化させないため、自分の成長を妨害されないため、家を出ることは必要不可欠でした。
しかし、激しい言い争いの最中、つい口走ってしまったのです。
「もう無理。会社の寮に入る」
母は激怒し、その場に泣き崩れました。
「おまえは親を捨てるのか!親を捨てるのかぁ……」
母には、私がどうしても逆らえない切り札がありました。
うつ病です。
都合が悪くなると、急にどもり始め、足をずって歩いて見せるのです。
(母がうつ病になったときの独特の症状)
「そんなのずるいよ……」
憤りながらも、結局は母の言いなりになるしかない。
もし母がうつ病になったら、介護が必要になり、生活はあっという間に破綻する。
“家族の問題は、決して外に漏らしてはいけない”というルールを守っていた私。
入院や公的支援に頼るなど、思いつきませんでした。
🔳 「結婚」という手段で、家を出ることについて
「会社の寮に入って、家を出る」という試みが失敗に終わって2年後。
結婚という手段で、円満に家を出ることができました。
(一時期、母は不安定になりましたが……)
しかし、家を出るために、結婚を急ぐのはおすすめしません。
パートナーとの関係に、同じような問題が生じる可能性があるからです。
もちろん、パートナーとの関係が、精神的に自立した「対等な関係(共依存関係ではない)」なら問題はありません。
■ まとめ
家を出ることは、アダルトチルドレンの回復(克服)にとって有効な手段。
話を切り出すタイミングは慎重に。
最後に|「具体的に動く」ときの2つの大切なポイント

- 具体的に動きながら、今の自分について考えること:
殻に閉じこもって「自分探し」をしていると、過去にとらわれ、どんどん深刻になってしまいがち。
現在の、変化しつつある自分について考えましょう。 - 「ほどほど」に考えること。深刻になりすぎず、でも真剣に:
ACは「ほどほど」が苦手。完璧に、徹底的になりがち。
気を負わずリラックスする方が、物事はうまく進みます。

焦らず、ゆっくり、少しずつで大丈夫
毒親に育てられてアダルトチルドレン(AC)なってしまった。
ACに関する本やWebサイトで概要は理解できたけど……。
自分自身にどう応用すればいいの?
実際に回復した人の実体験が知りたい。